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  ポーカーの高速道路とけものみち

     自分の大好きなポーカーに関する戦略などを紹介



このブログについて

自分の大好きなポーカー(特にTexas Hold'em(テキサスホールデム))
というゲームに何か貢献ができないかと思い、ブログを始めました。    
ポーカーに関する戦略などを紹介していきたいと思います。         

 Stack to Pot Ratio(SPR)

ポーカー戦略

最近海外のトーナメントに出ていて、エフェクティブスタックを有効に活用できていないプレイヤーが(プロであっても)多いような気がしていました。
エフェクティブスタックがベットの11〜13倍ないのにセットを引きに行くようなプロは流石にいませんが、ポットコミットとなりうるのに3ベット・4ベットブラフをするようなプレイヤーや、オープンオールインのできないプレイヤーは結構います。
シマダ本でも詳しく書いていないので、何かよいコラムはないかとネットを探したところ、TwoPlusTwo掲示板の「コンセプト・オブ・ザ・ウィーク」でよい記事を見つけたので紹介します。


マイクロノーリミットホールデムでのSPRの活用

スタック・ポット比(SPR:Stack-to-Pot Ratios)

 今回のコンセプト・オブ・ザ・ウィークは非常に短く終えることができる。SPRについて知りたいならMatt Flynn、Sunny Mehta、Ed Millerの書いた『Professional No Limit Hold 'Em』(PNLHE)を参照と言えば足りる。以上。
 そんなことはしたくないので、この後もお付き合いいただきたい。SPRはノーリミットホールデムでは議論のあるトピックのようであり、PNLHEはSPRの位置づけを若干過大評価しているとかなぜ言われるのかわからないが、SPRは間違いなくあなたのプレイを向上するために使える極めて有用なツールだと思う。

SPRとは何か?

SPR(スタック・ポット比)は単純だ。最も小さいスタックの額を最終時点のプリフロップのポット額で割ればよい。

例:
 100ドルのスタックを持っていて、相手が200ドルのスタックを持っていて、フロップの時点でのポットが10ドルとする。最小スタック100ドルをポット額の10ドルで割るので、100÷10=10がSPRとなる。

 10ドルのスタックを持っていて相手のスタックが15でポット学が0.5なら、10÷0.5=20でSPRは20となる。

 参加している相手が2人以上の場合は、SPRをすべての相手に対して計算することができる。例えば自分が300,000ドルのスタックを持っていてdurrrrが200,000ドルのスタックを持っているが、Iveyが500,000ドルのスタックを持っていて、最終的なプリフロップのポットが10,000ドルだったとする。この場合SPRはdurrrrに対しては20(200,000÷10,000)でIveyに対しては30(300,000÷10,000)となる。

 単純な数学なので分かりやすいだろう。

なぜSPRを使うのか?

 SPRは、参加している最小スタックとポットサイズに関する数字上のバリューを単純に示すものだ。「ポットが大きい」という代わりに「SPRが小さい」と言うようなものだ。

 SPRを使うことで、コミットプランをよりよく立てることができ、プリフロップのポット額を調整することに役に立ち、フロップ後により適当な決断をすることができる。SPRは、PNLHEの記述と異なり、ポーカーで最も大事なものとまでは思わないが、考慮することが不可欠なものだとは思う。

マイクロノーリミットホールデムでのSPRの活用。

SPRを使わなかった勝負の例を見てみよう。

ハンドA:

フルティルトの50ドルバイインノーリミットホールデムー9人テーブル

MP1: $44.00
MP2: $14.40
私(CO): $50.00
BTN: $33.90
SB: $44.55
BB: $54.15
UTG: $32.00 VPIP(参加率)65%:プリフロップレイズ率19%のフィッシュ
UTG+1: $40.20
UTG+2: $50.25

プリフロップ: ($0.75) 私はCOでKKを持っている。
UTGが$0.50のコールで4人フォールド、$1.50にレイズしたところ、3人フォールドでUTGが$1のコール。

 3倍の標準的なバリューレイズを行いフィッシュがついてきた。いい感じだ。

フロップ: ($2.25) 2 J 7 (2 players)
UTGはチェックで$2のベットをしたところ、UTGはコール。

 よいフロップで適切なサイズのCBを行い相手はコール。依然として私にとっては良い状況だ。

ターン: ($5.25) 6 (2 players)
UTGはチェックで、$4.00ベットしたところ、UTGに$10までレイズされた。

 なんてこった。どうすればいいんだ。ブラフしてるのか?

 私はこのハンドでいくつかのミスをした。そのうちのほとんどがSPRを効果的に考慮し活用することで避けることができたものだ。


ハンドB:

Full Tilt Poker $50.00 No Limit Hold'em - 9 players

MP1: $44.00
MP2: $14.40
私 (CO): $50.00
BTN: $33.90
SB: $44.55
BB: $54.15
UTG: $32.00 65/19 fish
UTG+1: $40.20
UTG+2: $50.25

プリフロップ: ($0.75) 私はCOでKKを持っている。
UTGが$0.50のコールで4人フォールド、$2.50にレイズしたところ、3人フォールドでUTGが$2のコール。

 通常私はブラインドの3倍のレイズをするが、その場合SPRが約16になって私のハンドにとって都合がよくないため、SPRが自分にとって有利な約8となるように5BBのレイズをした。

フロップ: ($4.25) 2 J 7 (2 players)
UTGはチェックで私は$3.50のベット。UTGは$3.50をコール。

 よいフロップで適切なサイズのCBを行い相手はコール。私はこの時点で勝っていると思っており、相手が超フィッシュであることからすると、私は、SPRが8の状況ではこのハンドにコミットしていると考えている。

ターン: ($11.25) 6 (2 players)
UTGはチェックして$9.00ベットしたところ、UTGは$26のオールインをしてきた。

 さて、私はフロップでコミットしていると言ったが、6が相手のハンドをよくさせた可能性は低くまだ勝っていると考えているので、事前の計画どおりすべてのチップをこのアグレッシブドンキーに対して賭けた。

 私は$17をコール。


 ハンドAで私が犯した最大のミスは、リンパーが入ったあとに3倍のレイズを行ったことではなく、他のストリートでのコミットプランを立てていなかったことにある。ハンドBのときのようにコミットプランを立てていれば、たとえハンドBの私と異なるアクションがプリフロップでのレイズ額だけだったとしても、ターンでこのような臆病な状況に陥ることはなかっただろう。
 SPRは、ハンドBの私にどのようにハンドをプレイすべきか教えてくれないが、プランを立て、その後プランを実行するためにポット額を調整するのに役に立つのだ。

マックスSPR

 マックスSPRとは、オールインした場合に利益を上げ得る最大のSPRに関する推計をいう。マックスSPRはある特定の勝負で特定の相手に対して推計することができる。

プリフロップ: ($0.75) 私はCOでAAを持っている。
5人がフォールドし、私が$1.50にレイズしたところ、2人フォールドでBBが$1.00コール。

 このような状況はマックスSPRを推計するいいタイミングだ。もしBBが本当にタイトで、2ペア以上でなければめったにチップを奪い取ることができないプレイヤーであれば、おそらくSPRが4以下のときのみオールインに持ち込むことができるだろう。これは、SPRが4以下ならこの特定の相手に対してコミットし、利益を上げることが期待できるということである。しかしながら、SPRが4以上の場合には、すべてのチップをこの相手に対してコミットすることは期待値マイナスであろう。

 もしBBがルースでどうしようもないアグレッシブドンキーの場合には、SPRが10以下ならコミットするだろうと言えるかもしれない。

ターゲットSPR

 マックスSPRはオールインしたときに得られる最高のSPRと推計でき、期待値プラスとなると考えられる。しかしながら、だからと言ってマックスSPRが最適なSPRであるとは限らない。PNLHEは、ターゲットSPRを次のとおり定義している。

 特定の相手に対する特定のハンドの理想的なSPR。オールインしたときに最大限のチップを獲得できるのがこのようなSPRだ。

 さて、ターゲットSPRはどのように推計すればいいのか。それは次の2つの主要な要素に左右される。

1.あなたのハンド

明らかなことだが、ハンドは最も重要だ。ポーカーをかなりの量プレイしてきているのであれば、どのスターティングハンドがリバーまでにどのような種類のハンドを作るか知っているはずだ。AK、AQなどのビッグA、ブロードウェイカード、JJ以上のペアは、トップペアやオーバーペアとなる。小さなポケットペアは、アンダーペアかセットに、スーティッドコネクターは、フラッシュ、ストレート、ビッグドローとなる。

トップペアハンドやオーバーペアは、「13恐怖症」となる。これは、13という数字を怖がるという意味だ。4や6といった低いSPRでは、ベット・ベット・コミットとできるので簡単で、21といった高いSPRでも、通常はすべてのチップを失うことにはなりようもないので悪くないが、13は、セットマイニング*1したりドローを引きに行ったりする十分なインプライドオッズがあるとともにブラフであなたを降ろすにも十分な不確定な中間地点だ。トップペアやオーバーペアにとってよいターゲットSPRは13よりずっと低いかずっと大きいものとなる。スモールペアやスーティッドコネクターといったドローハンドでは、トップペア・オーバーペアが嫌うのと同じ理由で13という数字が好ましくなるのだ。

2.あなたの相手

 ターゲットSPRをうまく推計するには、相手のスタックを奪い取れる範囲と相手の傾向を考慮する必要がある。

 セットマイニングをしているタイトウィーク(NIT)はセットができるか非常に低いSPRでなければ自分のチップをコミットせず、セットができたりしなければフォールドしてしまうだろう。このような相手に対してはプリフロップでできるだけ多くのチップを投入したいと思うだろう。相手はフロップ後は完全に合理的にプレイをするだろうし、SPRが低い場合には、ポケットペアで自制心を失ったり、コミットしていると感じる可能性が高くなるからである。よって、このような相手に対するよいターゲットSPRは4となる。

 優れたタイトアグレッシブなプレイヤーに対しては、小さなレイズをするだろう。相手のコールレンジは、ポケットペアだけというものより広いだろうし、ときにはブラフすることを狙ってくるかもしれない。このような相手がトップペアトップキッカー(TPTK)やそれに似たハンドをヒットした場合には、すべてのスタックを賭けてくるかもしれないが、依然として優秀な相手でありよいハンドがなければ多くのチップをコミットしたりはしないだろう。このような相手に対しては、6〜7といったターゲットSPRを設定することができる。

 マニアックなフィッシュに対しては、ターゲットSPRを10〜11というように高く設定することができる。このような相手は愚かなハンドで愚かなアクションを取るもので、SPRが高くなればなるほど、相手から得られるチップが多くなるからだ。

 基本的なガイドだけを提示したが、このようなターゲットSPRは、各々のプレイヤーに対する洞察や傾向によって変わるものだ(どんなプレイヤーでも同じプレイヤーは2人としていないことに留意)。私は色々と異なるハンド異なるプレイヤーと対戦することもできたが、そうしなければならないとは感じていない。自分の頭を使って、自分のいる一般的な状況における自分自身のターゲットSPRに辿り着けばよいのだ。

ターゲットSPRにたどり着くためのポット額の調整

 ターゲットSPRを設定したらそのターゲットに辿り着かなければならない(それこそがターゲットを設定した理由なのだ)。プリフロップのポットを管理することは、フロップでの1BBの違いがリバーまでに30BBもの差になり得、大きな差が出るため、極めて重要だ。

レイズサイズ

 すべてのポジションにおいて3〜4BBのレイズを行いリンパーが1人いる毎に1BBレイズ額を足していくというのは、オンラインポーカーでは圧倒的な流行である。そうしなければレイズサイズであなたのハンドを読むことができるので、いつでも同じ額のレイズをするだろう。これにはメリットもあるが、私がプレイする際に心がけているのは、止まって・考えて・調整する!というものだ。標準的なレイズは3BB+1リンパ‐ごとに1BBというものだろうが、自動的にこのようにするとコストが高くつくこととなる。ターゲットSPRを考慮し、3倍のレイズを行うことでそのターゲットに辿り着くかを考えるべきだ。巨大なスタックを持っている場合には、より大きなレイズをすることでバリューを失うことにはならないだろうが、ショートスタックがブラインドにいた場合には、ボタンからミニマムレイズをした方がより利益を生むだろう。より好ましいSPRにたどり着くために頻繁にプリフロップのレイズサイズを調整することは、かなりあなたのプレイを向上させることだろう。

3ベットするかしないか

 3ベットをすべきどうかの決断と実際にするかは別なものとなり得る。特に相手にポジションのある場合には、相手のプレイヤーは3ベットにコールする傾向があることに留意しなければならない。よって、3ベットする前に「コールされた場合、低いSPRのポットに参加することとなるのか」考えなければならず、このハンドとポジションで、相手のコールレンジに照らしてその相手と勝負したいかどうか考えなければならない。SBからKJoなどで3ベットする者は多いだろうが、コールされて初めて「ちくしょう、どうすればいいんだ。相手のレンジからすると勝っていそうにないが、SPRが5しかないので、JJではコミットせざるを得ない」というようになってるプレイヤーが多い。このようなプレイヤーについて考えてもしょうがないが、勝負の前にプランを持って、すべての可能性を考慮して、それから決断をする必要がある。SPRが低い場合、通常は決断は早くなるが、相手のレンジに対して微妙なハンドを持っていて、ポジションがない場合には、決断がより難しくなることもあり得る。

 ディープスタックのときには、通常3ベットをするような場合にフラットコールすることも正しい決断となり得ることがある。

MP1: $44.00
MP2: $14.40
CO: $61.65
BTN: $33.90
SB: $44.55
私 (BB): $130.00
UTG: $54.15
UTG+1: $120.20 参加率11%、プリフロップレイズ率9%で3ベットには81%フォールド
UTG+2: $50.25

プリフロップ: ($0.75) 私はBBでAAを持っている。
1人フォールドで、UTG+1が$1.50にレイズ、6 人がフォールドで私は$1.00をコール。

 私はAAを持っていて最大限のバリューを引き出したいと考えているが、ここではフラットコールがよいプレイだと思う。もし$5.5に3ベットして相手がコールすれば、SPRは11になることとなり、これは13に近く、13は特にタイトプレイヤーと対戦するのはよくない数字だ。ジャストコールした場合には、SPRは36と非常に大きく、セットが引けなければスタックを失くすことがないのと同様に、よりよいハンドによってスタックを失う恐れもなくなるため、私のハンドにとってはよい数字である。ここで3ベットをすると、相手に小さなポケットペアでコールするよいオッズを与えることになり、悪いSPRでポジションのない状態で、オーバーペアに対して完全に合理的なプレイができる相手に対することとなる。あまり良くない状況だというのが私の意見だ。相手は自分もAAを持っているのでなければ、プリフロップで大きくチップをかけたりしないだろう。

 ポーカーにおいては、相手に対して持ち得る3つの優位性があることに留意しなければならない。
・スキルの優位性、
・ポジションの優位性、
・カードの優位性

 一般的に、スキルやポジションの優位性を相手に対して有している場合には、これらの優位性を活用して利益を上げる余地がより大きくなるので、高いSPRでもプレイする余裕ができることとなる。SPRが小さくなればなるほど、ポジションとスキルの優位性はあまり重要でなくなるため、カードの優位性しかない場合には、より小さなSPRを目指すべきである。どの優位性もない場合には、フォールドしなければならない。

結論

 SPRについて本当に知りたいなら、Matt Flynn、Sunny Mehta及びEd Miller著の『Professional No Limit Hold 'Em』を読むこと。

Professional No-Limit Hold 'em

Professional No-Limit Hold 'em


<4/11追記>
 コメント欄にあるとおり上記記事には原典から誤りが含まれていたので、訂正するとともに解説記事を書かないといけないなと思っていたところ、「ポーカー道」さんの方で非常にわかりやすくSPRの概念について解説されていたので紹介します。Professional No-Limit Hold'emの内容をほとんど網羅されているんじゃないでしょうか?

 あとコミットプランの重要性についてもわかりやすく解説されているのでオススメです。ラストブラフイニシアティブ(あくまでシマダ造語w)についても詳細に解説されています。

*1:訳注:ポケットペアでセットを引きにいくために、プリフロップのレイズでコールすること