読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

  ポーカーの高速道路とけものみち

     自分の大好きなポーカーに関する戦略などを紹介



このブログについて

自分の大好きなポーカー(特にTexas Hold'em(テキサスホールデム))
というゲームに何か貢献ができないかと思い、ブログを始めました。    
ポーカーに関する戦略などを紹介していきたいと思います。         

Kill Everyone: Advanced Strategies for No-limit Hold 'em Poker Tournaments and Sit-n-go's(1)

ポーカー戦略


Kill Everyone: Advanced Strategies for No-limit Hold 'em Poker Tournaments and Sit-n-go's
Kill Everyone: Advanced Strategies for No-limit Hold 'em Poker Tournaments and Sit-n-go'sLee Nelson

Huntington Pr 2009-06-30
売り上げランキング : 177711


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

1 New School v. Old School

ルースアグレッシブ

 大規模なマルチテーブルトーナメントにおいてチップを集めることは、一つの芸術的技巧とも言え、様々なプレイヤーがこの偉業を達成すべく様々な方法を採用しています。古典派(Old School)のプレイヤーは、99、AQs、AK以上の大きな初手(トップ5%くらい)が来るのをじっと待ってタイトにプレイし、これらのハンドからできるだけ多くの利益を上げようとします。彼らは、自らのハンドの強さを特定するために、ベットやレイズを使います。アグレッシブなプレイがこのアプローチの特徴です。
 しかしながら、トーナメントの序盤において、小さなペア・ミドルペアからスーティッドコネクターまで可能性を秘めたハンドをプレイすることで大きなインプライドオッズを獲得するプレイヤーもいます。彼らは、フロップをミスしたら、大きな勝負はしません。大きなペアは、小さなポットを得るだけです。しかし、フロップでツーペア以上の手を掴んだら、AAやKKに夢中で離れられないプレイヤーを飛ばすのです。
 これこそがあなたが我慢強く待っていた状況なので(AAやKKが来る確率はおよそ110ハンドに1回です。)、最大限の利益をそこから引き出したいと思いオールインしても構わないと考えるのも自然でしょう。しかしながら、このことこそが今日の肉食系プレイヤーが探し求めているものなのです。トーナメントの序盤でAAと心中した場合、友人にはバッドビートストーリーを語っていると思います。実際には、これはバッドビートでも何でもなく、特に多くのプレイヤーがやるようにAAでスロープレイしていた場合はそうです。そのようなプレイヤーは単に飛んでしまうだけで、今日の多くのプレイヤーが幸運にもそうしむけているのです。ビッグペアでスロープレイしたせいでトーナメントの序盤で飛んでしまったりつかまってしまうプレイヤーは、驚くほど多くいます。ハンドリーディングの能力が素晴らしくて、どの勝負に参加しても問題ないと感じているのでなければ、AAでスロープレイするのは、特に多くのプレイヤーがディープスタックであるトーナメントの序盤では、誤りであることが多いです。
 実際にも、トーナメントの序盤において、AAで激しくオーバーベットした場合に、非常に大きな利益を上げることも多いです。何年か前のBellagioの25000ドルバイイン50000点スタートのWPTチャンピオンシップにおいて、Jim McManusがAAでプリフロップで50000のオールインをしていました。彼は、QQを持っているプレイヤーにコールされましたが、多分ブラインドが小さいときにAAで50000のベットをするようなプレイヤーがいるとは誰も思わなかったでしょう。このプレイについて聞かれたとき、プロプレイヤーのChip Jettは、「なんてことないさ。とにかくAAは、私がチップを集める計画には必要ない。」と答えました。Chipは間違いなく皮肉をこめて言っていますが、今日の新興派(New school)のプレイヤーは、チップの山を築くために大きなペアを必要としていないということは事実です。
 新興派のプレイヤーは、トーナメントの序盤は、チップを得るためにありとあらゆるハンドでプレイします。彼らは、最適な戦略として、Small ball‐小さいベット、レイズ、リレイズを行い相手を見出し困惑させるプレイ‐を採用してプレイします。相手が事実上どんなハンドでもプレイできる場合には、いつもあなたを倒し得るハンドを相手が持っている可能性があります。実際にも、Daniel Negreanu、James Van Alstyne、Alan Goehring、Patrick Antonius、GusHansenといった新興派の雄は、大きなポットを取るときにありえないようなハンドを常に相手に見せています。
 実際に2007年4月のBellagioのトーナメントの例を見てみましょう。
 3120ドルバイイン6000点スタートのトーナメントでブラインドは50−100でAlan Goehringが26000でチップリーダーでした。Allen Cunninghamはテーブルのセカンドチップリでスタートチップの倍以上の13000点を持っていました。
Goehringは、フロップをキャッチするためにたとえレイズが入っていたとしても多くのハンドをプレイしていました。このハンドのときは、GoehringはUTGから6h4sでリンプしていて、3つ左のCunninghamがAcKcで400にレイズしました。Goehringは、コールしてヘッズ。フロップは、5c3c2hでGoehringはナッツでCunninghamがナッツフラッシュドロー&2オーバーカード&ガットショットストレートドローです。GoehringがチェックするとCunninghamが700ベット、Goehringは1600にレイズ。Cunninghamはコールしました。ターンは4sでGoehringはCunninghamにレイズするようなじって1600ベットしました。Cunninghamは5ハイストレートとナッツフラッシュドローがあるにも関わらず、引っ掛かりませんでした。リバーはJhでGoehringは、6000のベットで、Cunninghamは少し考えた後コールしました。
 このハンドでCunninghamは9600負けて残りは3400になってしまいました。一方Goehringは35000以上になって、スタートチップの6倍に達しました。まだレベル2なのに!
 ディープスタックのときは多くのハンドをプレイするので、新興派の雄のハンドは全く読めず、何を持っているのか分かりません。何を持っているのか分からないことだけが問題なのではなくて、彼らは、弱さを嗅ぎつけると非常に多くのポットをスチールしようとしてきます。相手の精神状態を不安定にすることによって、望ましいコールを引き出したり、よいハンドで降ろさせたりして、しばしばチップの山をかき集めることになるのです。私の見解では、今日のゲームにおいてベストプレイヤーは、このようなルースアグレッシブ(LAG)戦略を採用していることが多いです。

<11/4追記>

 また、私の見解では、このルースアグレッシブスタイルを発展させることとなった大部分は、デンマーク人のGus Hansenに負うところが多いです。元バックギャモンプレイヤーであることから、Gusは”Equity*1”の観点から物事を考えます。彼は、プリフロップのequityとポストフロップのequityに大きな違いがあることを認識していました。プリフロップにおいて、AKはT3(Hansenと呼ぶ者もいるハンドです。)と比べると67%の勝率がありますが、フロップにTか3が出てAもKも出なかった場合には、AKの勝率は30%に下がります。フロップがAT3だった場合、AKはほぼ33%の勝率に落ち込み、すべてのチップを賭けて勝負できるような強いハンドを持っていることになります。プリフロップのレイズは、トーナメントの序盤ではチップ量を比較して小さなものであることが多いので、Gusは、多くのハンドを特にポジションのある場合にはプレイし、予想もできないハンドがヒットしたら相手を捕まえるのです。
 友人が2002年のWPTのシーズン1のBellagioのFive Diamondトーナメントで、トッププレイヤーがGusが優勝するまで70%のハンドをプレイしていたと言ってました。
 このスタイルをさらに完成させ、更なる高みに到達させることでGusの足跡にその他の北欧人も続きました。この中で最も優れたプレイヤーは、フィンランド人のPatrick Antoniusです。Patrickは、Gusより更に多くのハンドでプレイするとともに、信じられないような注意力も有しており、また、恐れを知らず、予測不可能なプレイヤーです。ベットとレイズを繰り返し、相手にすさまじいプレッシャーを加えます。
 大きなトーナメントの序盤でAKを持っていてアーリーポジションから200にレイズしたとします。Patrickがボタンからコールします。フロップは、Ac3d4hです。475のポットに400ベットするとコールされました。ターンは何の意味もなさそうな2hです。1000ベットするとPatrickは猛々しく1分くらい考えたあと1500にレイズしました。このベットにコールするとリバーで残りのチップの大半かすべてを賭ける決断を迫られる可能性が極めて高い状況です。どうしたらよいでしょうか。
 Patrickは何を持っているのでしょうか?33?44?A3?4d5d?Ah6h?実際のところ、これらのすべてのハンドを持っている可能性があり、難しいところです。このようなプレイヤーに対しては、安全にほとんどの初手の可能性を消すことができず、セカンドベストではあるけれどもさらに良くなる形のハンドで非常にアグレッシブにプレイしますし、既にナッツかそれに近いハンドを持っている可能性もあります。したがって、ターンでレイズされた場合には、本当に危険な状態にあると言えます。この無害そうな2でストレートができたかもしれません。伝統的なプレイヤーであれば、ほとんどラグでしょうが、Antoniusは、2がいいカードであるかのようにベットしていますし、そのプレイスタイルによって、この可能性を否定することができません。さらにあなたはAntoniusのことを知っていますし、あなたがAntoniusがリバーで目一杯引き金を引くことができるということを知っていることをAntoniusも知っているので、完全なブラフの可能性も否定できません。この不確実性と恐れ知らずな部分によって彼の強さは構成されているのです。この種のプレイスタイルがルースアグレッシブと呼ばれるものです。

<11/5追記>
 トーナメントライフが突然瀬戸際に立たされることもあります。熟練者が自分が勝っているというようなベットをしているときにトップペアトップキッカーでリスクを取ることができますか?トップペアやオーバーペアでオールインをしたプレイヤーが即座にコールされてセットやストレートを見せられるような場面を何度も観てきました。退散です。
 トーナメントの序盤でポジションのある新興派のトッププレイヤーと戦うのは、地雷原を進むのと同じです。一歩進めたら、OK。もう一歩進めたら、問題なし。3歩目でバーン!死体袋に詰められて空港に送られることになります。
 そのようなテーブルについてプレイを眺めていれば、重要な教訓に気づくでしょう。モンスターハンドを持っているのでなければ、彼らの邪魔はしてはならないと。しかしながら、モンスターはめったに来ず、Patrickやその同類たちは恐ろしいほどのポットに参加しているので、避けるのは困難です。そのために”Kill Phil”において経験の浅いプレイヤーは、ビッグペアでオーバープレイをし、プリフロップでは、“Phils”(とPatricks)の強さを無効化させるため明確なガイドラインのもとブラインドと比較したチップ量に応じた「オールインorフォールド戦略」を取るよう勧めたのです。チップ量が1周のブラインドとアンティの量の10倍以下になったら、この戦略は、最適に近くなります。
 まだKill Philを読んでいないのなら是非読んでください。この続編で議論されている考え方についての明快な枠組みがそこには書かれています。

【Elkyの注釈】
 今日のポーカーにおいて、このスタイルは間違いなく最も有効なスタイルです。しかしながら、状況に応じて順応しゲームによって変え、テーブルの動き、自分のイメージ、ブラインドやチップ量を考慮する能力がトーナメントに勝つためには絶対的に必要になります。

<11/6追記>

序盤に多くの可能性を秘めたハンドでプレイすること

 多くの新興派のプレイヤーのように、相手のハンドや相手の傾向が本当によく読めるようになった場合には、相手に対して新興派のような戦術を使うことができるようになります。ディープスタックでは、64sやT7sのようなハンドで小さくレイズすることができます。何人かリンパーがいた場合には、ボタンかレイトからオフスートのコネクターやQs5sのようなハンドでリンプしてフロップを見ることもできます。フロップで大きな役(ツーペア、トリップス、ストレート、フラッシュ等)をヒットしたら、大きなポットを手にし、多分ダブルアップすることができます。753のフロップであなたがビッグハンドを手にしたと思うような人間は誰もいないでしょう。あなたはAlan Goehringではないので、他のプレイヤーがあなたがこのフロップでストレートを引いたかもしれないなどと思う可能性は極めて低いです。相手が大きなオーバーペアを持っていたり、ナッツフラッシュドローを持っていたりすれば、相手を飛ばすことができます。

【Elkyの注釈】
 この戦略は、ルースアグレッシブスタイルと組み合わせることにより、非常に利益の出るものとなります。この戦略を採用することで、小さな投資で大きなポットを獲得できることもあるでしょう。しかしながら、このスタイルを採用するには未だ慎重でなければなりません。可能性を秘めたハンドを最適にプレイするには、成功したプレイヤーの支配領域であるリーディングスキルとフロップ後のスキルが要求されるのです。
 それほど熟練していないプレイヤーは、一般的にタイトなハンドで始めて、それから徐々に経験を積むにつれて、より多くの可能性のあるハンドをプレイするようにすることをお勧めします。
 経験のあるプレイヤーには、トーナメントの序盤では多くのポットに参加することをお勧めします。実際のところ、チップ量が非常に大きい序盤は、熟練したプレイヤーがその能力を活かして相手から利益を得る最適の時間だと考えています。多くのフロップを比較的安く見ることが可能で、スキルの劣ったプレイヤーが大きなミスを犯しがちなのが序盤です。さらに、能力の高いプレイヤーは、経験の浅いプレイヤーを操り誤らすことができることもあります。

<11/9 追記>

イメージを作るために序盤はタイトにプレイすること

 フロップ後にうまくプレイできるか不安なため、多くのハンドで参加し多くのフロップを見るというこの戦略があまり好ましくないと思う場合には、もうひとつ効果的な代替的な戦略があります。序盤は、極端にタイトなイメージを作り上げるためにほとんどハンドに参加しないこととして、後半で効果的にスチールを行うというものです。この戦略によって、プレイできるハンドの範囲は、55以上、AQs以上、AK程度に狭まります。スモールペアはプリフロップの小さなレイズにはコールできるかもしれませんが、フロップでセットにならなければそれで終わりです。99、TT、JJでは、レイズされた場合にはコールにとどめ、フロップでセットができるかフロップで低いカードが出てオーバーペアになることを期待しましょう。ビッグペア(QQ~AA)では、プリフロップでアグレッシブにレイズ・リレイズをしましょう。
 この戦略の目的は、相手にあなたがちゃんとした信頼のおける(solid)ハンドでだけ参加するプレイヤーだと認識させることにあります。AAやKKを何回か見せてタイトイメージを強調するのもよいかもしれません。レベル4か5までには、周りのプレイヤーもきっと気づくでしょう。そうなれば、幾分かアグレッシブなアクションを取ればかなりの確率でポットを取ることができることとなります。
 例えば、レイトポジションのレイザーにリレイズをした場合、かなりの確率でポットを取れるはずです。他のプレイヤーは何時間もあなたが普通よりもタイトなプレイをするのを見ていますし、あなたが微妙なハンドをショーダウンするまでは、スチールしてるなどと誰も疑わないでしょう。そうなれば、今度はまた殻に籠って、状況が回復するまでしばらく待つべきです。

【Elkyの注釈】
 テーブルイメージを作るというのは重要なコンセプトです。イメージを作るためには、テーブルブレイクのスピードと順番を認識しておくことが重要です。例えば、会場が広大なWSOPのトーナメントの序盤は、最初のラウンドで何回もテーブル移動をすることは珍しくありません。そのような場合には、プレイヤーのテーブルイメージはあまり役に立たず無関係になります。テーブルブレイクの順序が発表されていなければ、トーナメントディレクターに聞きましょう。しばらく同じテーブルにいることが分かれば、テーブルイメージを作ることは高い効果を生むことになります。
一方、トーナメントの終盤においては、テーブルイメージは重要な要素となります。しかしながら、次のような考え方が不可欠です:テーブルイメージを作るために決して自分のプレイスタイルを外してはなりません。私の意見では、重要なのは、各ハンドを最適にプレイしてテーブルイメージができた場合でも、テーブルイメージを作ることではなく自分のイメージを認識しておくことなのです

<11/12追記>

トーナメントの序盤におけるブラインドスチール

 トーナメントの序盤に可能性のあるハンドをプレイすることとゴミ手でブラインドスチールを試みることとを区別することは重要です。ブラインドが小さいときは、ほとんどのプレイヤーにとってブラインドをスチールする理由はありません。WSOPのメインイベントで30000点持ちブラインド50−100のときを例にしてみましょう。ボタンからはブラインドをスチールするためにどのようなハンドでもレイズしなければならないとどこかで読んだかもしれません。150のチップを獲得してもチップ量は0.5%しか増えないので、ほとんどのプレイヤーは、ゴミ手でこのような少ない見返りのために参加することは避けるべきでしょう。ハイカードがなかったりストレートの可能性のないアンスーティッドカードはマックすべきでしょう。
 「ほとんどのプレイヤー」と言いましたが、素晴らしいプレイヤーの中には例外もいます。しかしながら、彼らの目的は、ブラインドの150という地点にはないのです。ブラインドが諦めたらそれはそれでOK。小さな利益が得られます。しかし、彼らが300にレイズしてコールしたら、そこからゲームが始まるのです。このようなプレイヤーは非常に経験豊富でハンドを読むことに長けているので、フロップ以降で相手を圧倒し、おそらくこの過程で非常に多くのチップを獲得することができます。相手がチェックすれば、彼らはほぼ毎回ベットして相手がフロップをミスしたら(大体3分の2の確率です)、即座にポットを奪っていきます。相手が抵抗すれば、小さなベットや、レイズ、チェックレイズをしてハンドの範囲を特定してくるでしょう。相手が持っているハンドについての手掛かりを得たら、彼らは、同じような状況における過去の経験を基に状況を分析します。自分が勝っていると思ったら、利益を最大化するアプローチを採用します。相手が勝っていると思ったら、しっぽを巻いて逃げだすのではなく、相手を測り、相手がコールできないベットをすることができると判断したら、躊躇なくベットしてきます。反対に、負けていて相手をベットで降ろすことができないと判断したら、勝負の序盤でフォールドします。ときには、プロは小さなポットを失うこともありますが、負けるよりもはるかに多くの勝負を勝つ可能性がずっと高いのです。
 トーナメントの熟練者は、予測不可能性(どんなハンドを持っているか読めません)、すぐれたリーディング、ベットの威力、大胆さとポジションによって、中級者を打ち負かします。実際のところ、これらの特性によって、熟練者は偉大なプレイヤーとなっているのです。彼らは、ディープスタックノーリミットホールデムのトーナメントにおいてプリフロップのプレイはあまり意味がないと認識しています。熟練者はプリフロップのEquityをあきらめる代わりに後の勝負でより多くの利益を得ようとします。中級者はこのようにできません。ボタンから64oのようなハンドでレイズすることは、マイナスのプリフロップEquityを示しますが、Alan Goehring やPatrick Antoniusであれば、このような小さなプリフロップのマイナスは、ディープスタックの勝負におけるフロップ後のプラスのEquityで打ち消されるものです。
 ポーカーはゼロサムゲームです。1人のプレイヤーが期待値プラス(EV+)であれば、他のプレイヤーは、同じ額だけ期待値マイナス(EV‐)です。あなたがテーブルで1番か2番のプレイヤーであれば、64oのようなハンドでプレイすることは価値がありますが、そうでなければ、このようなハンドで参加することは、チップを失うプレイでしかありません。マックして次の勝負に移りましょう。
 序盤で可能性のあるハンドでプレイすることをお勧めするというときの可能性のあるハンドとは、小さなペア、スーティッドコネクター、1ギャップのスーティッドコネクター、Aハイのスーティッドを指します。55頁のルール5と10及び75頁のルール3及び6がこれらのハンドでいくらベットすべきかの参考になるでしょう。アンスーティッドコネクターもボタンやSBでリンプすることは可能です。ゴミ手でブラインドをスチールすることだけは避けなければなりません。

<11/14追記>

トーナメントの終盤におけるブラインドスチール

 5ラウンドか6ラウンドを過ぎると、ブラインドスチールは、より利益が上がるものになります。実際には不可欠なものとなるのです。特にアンティが出てくるようになってからは顕著です。スチールする頻度に影響を与える要素としては、

  • ブラインドと比べたチップ量。一般的に相手のチップ量が多ければ多いほど、スチールをするのは困難になります。
  • BBのプレイヤーのタイプ。トップ10%でなければリレイズしないパッシブなプレイヤーがベストです。頻繁にリレイズするアグレッシブなプレイヤーから効果的にスチールするのは困難です。
  • あなたのハンドの強さ。明らかなことですが、ハンドが強ければ強いほどレイズしやすくなります。頻繁にリレイズするアグレッシブなプレイヤー相手には、スチールハンドの強さの基準を上げる必要があります。そうであっても、頻繁にリレイズするプレイヤーに対しては、87s・76s等のハンドでオールインする必要があるかもしれません。たまにはAAでコールされるかもしれませんが、ときにはそのようなリスクを冒さなければテーブルの支配権を取り戻せません。相手がモンスターハンドを持っていなければあなたのプレイは成功します。
  • あなたのテーブルイメージ。直前に何回かブラインドをスチールしていれば、リレイズに耐えられるようなハンドでしかスチールレイズできません。ブラインドを2回スチールした直後にビッグペアやAKが来たときは目が覚めるほどスイートです。セミアグレッシブなプレイヤーのほとんどは、あなたの3回目のレイズにコールしてくるでしょう。
  • BBのプレイヤーが直前に大きなポットを取った場合には、その相手はスチールのよい候補です。ポットを取ったばかりでいい感じのチップ量になったプレイヤーは最高のターゲットです。そのようなプレイヤーはプレミアムハンドがなければめったに参加してきません。ただし、そのプレイヤーがプロなら、このアドバイスは無視してください。プロの中には「ラッシュをプレイする」のを好む者もおり、大きなポットを取った後のハンドは必ず参加する者もいます。Doyle Brunsonとプレイしたことがあれば、このような出来事に遭遇したことでしょう。

<11/16>

ビッグムーブ

 トーナメントの序盤において、ときにはチップの山を築くビッグムーブがやってくることがあります。これについては、これまで説明した内容とは違った考え方で考えなければいけないかもしれません。特定の対戦ハンドについてのオッズを知り、犠牲を恐れない勇気を持ち、適正なリスクを冒す必要がありますが、これらの能力がなければ、トーナメントにおいてコンスタントに結果を出せる可能性は、極めて低いものになるでしょう。
 2006年のオージーミリオンのメインイベントの序盤で、私はめったにない状況に遭いました。私は厳しいテーブルについており、オーストラリア人プロのJason Grayが左に座っており、Mark Vosと何人かの成功してタフなオンラインプレイヤーが続いていました。すべてのプレイヤーが20000点持っており、このハンドが来るまでの最初の1時間はあまり大きな動きがなく過ぎていました。
 ブラインドは50-100で私はUTGから7h6hで225にレイズしました。私はアーリーポジションでは、大きなハンドか大きな可能性のあるハンドでこのように小さなレイズをよくします。
 Jason GrayとMark Vosがコールをして、2人のタフなインターネット予選通過者がコールしました。ポットは1175点です。
 フロップは、Qh5h4cです。
 チェックするとJasonは1000ベットしてきました。驚くことにVosも他の2人もスムースコールです。私の番にアクションが戻ってきたところで、しばらく考えてからアクションすることにしました。私はフラッシュドローとオープンエンドストレートドローを持っています。9枚のカードがフラッシュを完成させ、更に6枚のカードがストレートを完成させます。(8枚のストレートカードから2枚のフラッシュカードを引いて数です。)15のアウツがあるので(アウツの数え方が分からなければ、Kill Philを読んでください。)、フォールドすることは全く考えませんでした。

<11/17追記>

オッズを知ること

 最初の直観ではコールすべきかと考えましたが、その後、他のプレイヤーがナッツフラッシュドローを持っている可能性も高いと考えました。結局のところ、4人のプレイヤーがポットサイズに近いベットにコールしているのです。ナッツフラッシュドローがいれば、私のアウツは、ハートでない6枚のストレートを作るカードのみと劇的に減ってしまいます。私は、自分のハンドがセットか高いフラッシュドロー以外のハンドについては、どんなよいハンドと比べても、少なくとも同率の勝率を持っていると認識していました。このようなドロー満載のフロップでレイズをしてセットを守らないような愚かなことはしないと考えられるため、Jasonを除いてはセットを持っている可能性は低いと考えました。このポットに参加しているプレイヤーはすべて上手いプレイヤーです。私のハンドでどのようにプレイすべきでしょう。
 この背景情報にかんがみて、私は自分のプランを実行しました。20000のオールインです。どのようにしてこの決断に至ったか。最初にフロップでオールインした場合のヘッズアップのオッズを計算しました。

  • オーバーペアに対しては56%。
  • ツーペアに対してはイーブン。
  • セットに対しては40%。
  • Aと低いカードのフラッシュドローについては37%。
  • Aと高いカードのフラッシュドローについては35%。

 逆説的ですが、最も勝率が悪いハンドはナッツフラッシュドローなので、これらのハンドが参加している可能性はいかにもありそうですが、フラッシュドローを降ろすためにレイズする必要があったのです。オールインをすればこれらのハンドは降ろせそうです。経験豊かなプレイヤーであれば、私が計算したように、ツーペアについては35%の勝率しかなく、私が一番持っていそうなセットであれば33%の勝率しかないことは分かるはずで、コールすることはかなり困難です。フラッシュドローを降ろせた場合には、いない可能性が高いですがセットがいたとしても、十分よいオッズになります。
 既にポットには5000入っています。コールするプレイヤーは更に19000出すこととなり、私は、相手にコールされた場合には20000のベットで24000得るリスクを冒すことになります。オーバーペアやツーペアに対しては55%の勝率があります。Jasonか他のプレイヤーがあり得ないセットを持っていた場合であっても、40%の勝率があり、この程度のリスクは喜んで取るものです。ほとんどのプレイヤーはセットを降りないでしょうが、スタックの5%しか出しておらず大きなトーナメントの序盤というこのような状況では、ボトムセットではフォールドするプレイヤーもいるかもしれません。後述するFold equityを考えると、オールインがベストプレイだと考えました。誰もセットを持っておらず全員フォールドする可能性が高いですが、不幸にもセットとぶつかったとしてもまだたくさんのアウツがあります。
 さて、相手がどのようにプレイしたか見てみましょう。JasonのハンドはハートのAのないAAでした。オールインされて更にまだ後ろに3人のプレイヤーがいるので、Jasonは即座に(そして適切に)フォールドしました。彼は、セットやモンスタードローがいる可能性が高く、多分不利だと分かっていたのです。その他のプレイヤーの誰かが彼のAAより強いだろうということが分かれば、フォールドするという決定自体は簡単なものです。
 Mark Vosの決断はもっと簡単です。彼はTTだったので即座にダウンしました。
 次のプレイヤーは本当に難しい決断を迫られていました。彼は54ツーペアを持っていたのです。6分ほど考えてあと、最終的に彼は自分でクロックを要請しました!こんなことをするプレイヤーを見たことがありません。彼は自分で期限を区切ったのです。結局彼はフォールドしました。彼は多分自分のハンドは私の持っていそうなハンドと比べてもそれほどよくはなく、Qのセットを持たれていて事実上ドローイングデッドになっていると考えたのでしょう。たった1225ベットしただけで残り19000ほど残っているので、飛んでしまうことを避けるために、嫌々ながらツーペアを捨てていました。ところで、仮に私がQQを持っていたとしても、同じようにプレイしていたでしょう。したがってツーペア以上のハンドを持っているのではないかという彼の恐怖は正しいものでした。いいハンドとブラフを同じようにプレイすることは、この本でくり返しお伝えするテーマです。読めないということは、熟練したトーナメントプレイヤーの誰もが持っている才能です。同じようにプレイすることでブラフをいいハンドが守るのです。
 最後のプレイヤーは、まさしくAと小さいハートのナッツフラッシュドローを持っていました。彼の立場からすると、彼は誰がナッツフラッシュドローを持っているか知っているので、既に完成したハンド、一番可能性が高いのはセットが相手だというのが容易に想定され、その場合には、33%しか勝率がないということが分かっています。イージーフォールドです。
 私の立場からすると、この勝負から多くの正の効果が生まれます。序盤でのチップ獲得の大きな一歩としてチップを25%増やしただけでなく、「fold equity」「fear equity」といった心理学的な優位も獲得しました。トーナメントの序盤であってもすべてのチップが脅かされる可能性があるという事実は、私が参加している勝負に参加することを躊躇させることでしょう。fold equityとfear equityの組み合わせこそが、ノーリミットホールデムのトーナメントにおける強力な武器なのです。

【Elkyの注釈】
ポットオッズを知ることは、ノーリミットよりリミットの方がより重要かもしれません。もちろん、ノーリミットにおいてもポットに対するオッズを数学的に理解しておくことは依然必要です。特にコールするか否かを決定する際にはそうです。ノーリミットにおいては、インプライドオッズに対する知識を習得することをお勧めします。インプライドオッズは、不完全情報その他の要素により、ポットオッズより若干抽象的でまた数学的にはより複雑ではありますが。

Fold Equity

 ベットやレイズをした場合には、勝負に勝つ方法は2つあります。相手がフォールドすればその場でポットを取れますし、すべてのカードがディールされたときにベストハンドをショーダウンすれば勝つことができます。
コールする場合には、即座に勝つことはできません。コールをし続けた場合は、勝負に勝つ方法はたった一つしかありません。ベストハンドをショーダウンすることです。
 明らかなことですが、フォールドするとポットに対してどのような権利を主張することもできなくなります。どれだけポットに対してEquity(正当な取り分)を持っていたとしても、消え去ってしまいます。屈服してしまったのですから。
 ホールデムにおいて、すべてのカードが明らかになるまでは、完璧に強いハンドというのはほとんどありません。KKをもっていてフロップがK95レインボーだったとしても、相手が76sを持っていたとして、ガットショットストレートドローをヒットさせあなたがフルハウス以上を作らなかった場合や、ターンとリバーに3と4が落ちれば、勝つことができます。相手のドローは非常に薄いものですが、それでもショーダウンまで行ったとしたら15%の勝率はあります。フロップであなたがベットして相手がフォールドしたとしたら、相手はこのEquityをなくしてしまうことになります。
Pot equityとは、ショーダウンまで行ってベッティングラウンドが終わった時点におけるポット獲得の期待値です。Fold equityとは、放棄されてしまったPot equityのことです。
 もうひとつ例をあげましょう。AKoでフロップA98レインボーで相手が76を持っていたとします。トップペアvストレートドローです。相手は34%のpot equityがあります。フロップであなたが十分にベットした場合、相手はおそらくコールできないでしょう。相手が34%を放棄したので、あなたの取り分は、66%から100%に増加することになります。
 相手の方が強いハンドを持っているときにフォールドさせるということは、よく起きることです。相手をフォールドさせることで得られるequityは相当なものです。結局のところ、カードが単にディールされるだけであれば、勝つことよりも負けることの方が多いでしょう。しかしながら、相手の方がいいハンドを持っているときに相手をフォールドさせることにより、マイナスのequityをプラスに転換させることができます。fold equityを自分のものにすることは、ノーリミットホールデムトーナメントにおいて不可欠です。これがアグレッシブなプレイヤーがトーナメントで勝つ主要な理由の一つなのです。彼らは、コンスタントにfold equityを上手く活用しているのです。
 間違えないでください。頻繁にフォールドすることが間違っているというのではありません。ガットショットvセットの例において、両方のプレイヤーがディープスタックを持っており、インプライドオッズがコールを適正なものにするのでなければ、ガットショットのプレイヤーが、ポットの50%以上のベットを受けた場合にコールすることは、完全に愚かなことでしょう。フォールドが正しいプレイであることはよくあります。実際のところ、特定の状況においては、相手をよく読めていて負けていると確信している場合に、非常に強いハンドでフォールドすることが正しいことです。しかしながら、一般的に言って、fold equityを可能な限り自分のものとしておくこと、すなわち、ベットとレイズを増やして、コールを少なくすることはよいことだということです。
 この本の主な主張ですが、ノーリミットホールデムのトーナメントにおいて、特にライブトーナメントでは、多くのプレイヤーはタイトにプレイし過ぎ、フォールドし過ぎています。特にプリフロップのオールインが頻繁になるイベントの後半においては顕著です。
 一般的に、ベットやレイズが大きくなればなるほど、fold equityは大きくなります。この一般的なルールにおいて注意すべきは、後で詳述しますが、オールインベットはポットサイズのベットかそれより小さいベットより疑うべきものだということです。他のプレイヤーが、あなたがいつでもオールインすることを躊躇しないと認識したら、もう一つのequity、fear equityを活用し始めるときです。

【Elkyの注釈】
 ノーリミットホールデムには、2つの重要なコンセプトがあります。fold equityとfear equityです。トーナメントのどの時点においても、プレイヤーはオールインして相手を脅かすことができます。その結果、しばしばベストハンドをフォールドさせることができます。それゆえ、テーブルの状況を理解して、相手のハンドレンジを分析し、チップ量を覚えておくことが重要なのです。評価と判断が正しくできるようになれば、オールインすることによって相手のベストハンドをフォールドさせられるようなプレイヤーになれるでしょう。
 さらに、オールインを躊躇なくすることで相手に脅威のメッセージを与えることになり、長期的に見て多くのポットを取れ、テーブルをコントロールできる可能性が高くなります。テーブルコントロールを巡るアグレッシブな的とのメタバトルは、トーナメントで成功するうえで必要不可欠なものです。チャンスをつかみ、相手の自信を削ぎ、自分が参加している勝負に参加することを躊躇させることで、テーブルのキャプテンとしての地位を固く確立することができるでしょう。

<11/19追記>

Fear Equity

 モンスターハンドやブラフやセミブラフでビッグベットをすることによるプラスの副産物のひとつにいわゆる「fear equity」というものがあります。相手は、あなたがいつでも(しばしば相手のチップのほとんどかすべてに相当する)すべてのチップを賭けるスタイルであるということに自覚的になるのです。この認識が相手に大きな影響を与えるのです。
 上手いトーナメントプレイヤーは、コンスタントにテーブルを見まわしてターゲットを探しています。理想的なターゲットは、いわゆる「weak-tight」なプレイヤーです。この種のプレイヤーは、プレイがまっすぐなので読みやすいのです。このような相手がベットしてきた場合には、相手は何か持っているということですし、チェックしたら何も持っておらずベットすればフォールドするような状態にあるということです。ペアでないハンドを持っている場合には、3分の2以上の確率でフロップをミスするわけですから、強いプレイヤーは3回に2回はベットすることでポットを奪うことができます。弱いプレイヤーはトップペア以下ではフロップのベットにコールできないので、ほとんどの場合フロップでベットすればフォールドすることになります。この種のプレイヤーは、勝負の後半であっても、例えば3枚目のフラッシュカードなどの危ないカードがターンやリバーで出てきた場合には、プレッシャーに耐えられないため、チェックしてきた場合にはベットすべきです。また、ブラインドスチールの主要なターゲットでもあります。さらに、このような臆病なプレイヤーは、めったにレイズやリレイズをしてこないので、脅威に感じることがほとんどありません。ただただ叩いて絞り続ければよいのです。
 一方、比較的トーナメントの序盤であっても、オールインするようなプレイヤーは、脅威となりえます。このようなプレイヤーは、恐れを知らず、リレイズやオールインも平気でしてくるので、ブラインドスチールのいいターゲットではありません。これらのプレイヤーは、降伏させるのも容易ではなく、ニトログリセリンを叩いて自爆してしまう羽目になりがちです。発火しやすく予想できないプレイヤーは、罠にかけられるようなビッグハンドを持っていない限り、トーナメントの熟練者が最も忌み嫌うプレイヤーです。プロは、スチールを頻繁にしませんが、リバーススチール(スチールポジションから強いハンドでレイズすること)のようなプレイをして罠を仕掛けたりします。しかしながら、一般的には、プロは、自分に深刻なダメージを与えかねないアグレッシブな相手に対して関わることは避ける傾向にあります。
 プロでなくても、アグレッシブで恐れを知らないプレイヤーと関わるのを避ける傾向にあるプレイヤーはいます。ビッグハンドが来ない限り、身を潜めているのです。ビッグベッターが相手に染み込ませる脅えの感覚こそがfear equityです。アグレッシブなプレイヤーから大きなオールインが飛んできたのを見た後は、そのようなプレイヤーが参加しているポットでは、次のベットやレイズでオールインされるのではないかと恐れる感覚が生じるものです。
 Steve Hestonが指摘するように、ノーリミットホールデムにおいて繰り返される重要なテーマは、トーナメントチップの価値は「非線形(nonlinear:直線的ではない)」だということです。徐々に価格が下がるなかでチップを買っていくようなゲームに似ています。例えば、1枚のチップが100ドルの価値があったとして2枚のチップでは190ドル、3枚は279ドルという具合です。このような場合、大きなベットにコールすることについては、タイトであるべきでリスクを取らないことが合理的となります。相手がタイトになるのなら、あなたはアグレッシブにならなければなりません。
fear equityは、自分のものにしなければならない強力な武器です。ブラインドスチールの常習者を止めることができますし、プレイ中でもスチールされる可能性を最小限にします。fear equityを効果的に使うことで、テーブルを管理し、支配することができます。多くのチップが集まれば集まるほど、チップがより強い武器になりますし、fear equityも大きなものになります。ノーリミットポーカーにおいて、あなたが破産の危機に恐れ、相手が明確に破産の危機を恐れていない場合には、fear equityを効果的に使うことは非常に難しいものです。チップの山を築く過程で相手に恐れの要素を染み込ますことができたなら、更にチップを獲得する道のりを順調に進んでいると言えるでしょう。

<11/25追記>

多くの小さなポットを勝ち取ること

 スモールボールのアーティストたちは、コンスタントに小さな別途レイズを繰り返し、ときにはいいポジションの利点を活かすこともあります。プリフロップでは、ほとんどいつもレイズで参加します。その場合、強いハンドを持っていることも可能性を秘めたハンドを持っていることもどちらもあり得ます。その結果、何通りもの方法でポットを取ることが可能となるのです。
 まず、フロップでビッグハンドやビッグドローができる可能性があります。例えば、フロップがT65で65sを持っていた場合、プリフロップのレイズに続いてフロップでベットしても、コンティニュエーションベットと解釈される可能性が高いです。アグレッシブな相手は、フォールドさせようとレイズしてくるでしょう。その場合、2ペアで勝っている可能性が高い状況で大きなポットが用意されることになります。
 2番目に、フロップをミスしたとしても、ベットやレイズをすることで相手を降ろすことができます。例えば、フロップにAが来た場合、実際には、65sで完全にフロップをミスしていたとしても、トップペアハイキッカーを装うことができます。
 3番目に、フロップで少しヒットした場合、次のようにプレイすることで小さなポットを獲得することができます。例えば、65sでプリフロップレイズして、フロップが962で2ハイカードを装ってチェックして、相手がベットしてきたら今度はオーバーペアを装ってレイズすることができます。これによって、たとえベットやレイズの額がポットサイズと比較して小さかったとしても相手に混乱を生じさせることができます。何を持っているか読めないプレイヤーは恐れられるものです。
 多くの小さなポットを獲得することは、チップの山を築く非常にいい方法です。特にヘッズアップの場合には誰もフロップでヒットしていないようなポットは多くあります。フロップやターンでベットすれば、このようなみなしごのポットを獲得することができますし、前述のとおり、ベットすることを躊躇してはなりません。ベットはいいことです。相手がポットの半分をベットして、3回に1回以上フォールドしたら、相手は最適な効果を得たと言えるでしょう。
あなたが先にベットした場合にはどうなるでしょうか。これらのプレイヤーは概して追いかけてはきません。コールしてターンで何が起きるか確認しがちです。2発目を撃つ勇気がありますか?そうしなければ相手に弱気を感じ取られ、ベットされてポットを奪われるでしょう。たとえターンでベットする勇気を出せたとしても、相手に弱気を悟られたら、レイズされる可能性もあります。また、ターンで3枚目のフラッシュカードが出るなど怖いカードが出てきた場合には、ハンドができたと装う可能性もあります。小さなポットをハンドの強さに基づかないあらゆる方法で奪うことで、重大なリスクは負わずに継続的にチップを増やして行くのです。
 この種のプレイを効果的に行うには、自分がどのような状況にあるかをよく把握しておく必要があります。相手はどのようなスターティングハンドでプレイしベットするか。Tellは見つけられないか。相手が持っていそうなハンドを把握するために、ボードと合わせてベット、コール、レイズを使って逆算できるか。これらのスキルに長けていれば、スモールボールプレイはリスクをコントロールしつつチップを増やす有効な手段となるでしょう。

【Elkyの注釈】
 どの段階においても、ビッグハンドがあれば、初心者であってもチップの山を築くことは可能です。私は大きなポットをそれほど気にしたり追い求めたりはしません。それよりはスモールボール戦略を好んで使います。多くのフロップを見てフロップ後に相手を圧倒することでチップ量を徐々に増やしたいと思っています。しかしながら、多くのフロップを見ることで、相手が私のレイズをリスペクトしなくなるにつれて、ときには巨大なポットを勝ち取るチャンスを手にできることもあります。
ポーカープレイヤーは大きなポットを追い求めるべきではないと強く考えています。このような勝負はとにかくいつかは起こります。Phil Hellmuthが言ったように、トーナメントの序盤では、相手に勝っているときであっても、ときにはブラフを受けてポットを諦めることは仕方ありません。あとでビッグハンドが来たときに彼らを捕まえる機会はいくらでもあるのです。

<12/4追記>

大きなポットをいくつか勝ち取ること

 チップを山の様に獲得する効果的なもう一つの方法は、通常は勝てないような大きなポットをいくつか取ることです。このスタイルは、スモールポットポーカーよりリスクが高いですが、かなり効果的にもなり得るものです。ポーカーの格言として「ビッグハンドなくしてビッグポットをプレイすることなかれ」というものがあります。一般論としては適当ですが、すべての状況に当てはまるわけではありません。ビッグブラフが例外の一つになります。
ブラフを効果的に行うには、それまでプレイしてきた方法と整合的でなければなりません。例を見てみましょう。
 ブラインド50−100でプリフロップでアーリーポジションから300にレイズされました。スタックは、10000あります。あなたはボタンで98sで10000点くらい持っています。フロップは、Ah9c3hでした。相手は700のポットに500売ってきました。相手はフロップをミスしたのにCBを打って来ている可能性もありますが、Aがヒットしている可能性も十分にあります。よってコールしました。ターンは6hで3枚目のハートが落ちました。相手はチェックしたので1000ベットしました。相手のフロップベットがCBでAを持っていなければこの場でポットが取れるでしょう。しかし、例えば相手はA+グッドキッカー(AKやAJ)でコールしてきました。リバーは3sです。相手はまたチェックしました。ここはオールインです。これまでのベットは、あなたがハンド(この場合はフラッシュ)を持っていると完全に示しています。あなたはAと2枚のハートのフロップでの大きなベットにもフラットコールで、ターンでハートが落ちて相手がチェックしたらポットの60%のベットをしてきており、リバーでは8500のオールインをしています。このベットにコールするのは極めて困難で、相手がオンラインのマニアックプレイヤーで内限り不可能でしょう。私はコールできませんし、ほとんどのプロもコールできないでしょう。
 優秀なアグレッシブプレイヤーがゲーム中に自分に問いかける質問の一つに「ここでオールインしたら、このプレイヤーが相手の最も持っていそうなハンドに照らして、トーナメントライフを賭けてコールする可能性はあるだろうか。」というものがあります。フォールドを誘う可能性は、それにより冒すリスクよりも大きい場合には、オールインは利益の出る行為となります。
 例えば、100,000のポットがあって、ブラフで200,000のオールインをしたとします。相手がフォールドすれば2:1のオッズです。相手が3回に1回以下しかコールしないのであれば、このプレイは期待値プラスです。コールして負ければトーナメントが終わるのであれば、ほとんどのプレイヤーは、非常に強いハンドでなければコールしないでしょう。ナッツかそれに近いハンドでなければそのようなリスクは冒せません。3回に1回を遥かに下回る頻度でしか起こらないので、オールインベッターは通常その勇気に見合った利益を得るのです。
 このようなブラフをするのに重要な要素がいくつかあります。第一に、適切なターゲットを選ぶことです。上手いプレイヤーほどブラフをするのに適しています。状況を読むのが困難なケースを避け、よく読めている場合でなければ、勝っていそうなときでもフォールドするのです。ブラフしない方がよいプレイヤーは、ハンドに恋焦がれており捨てることのできないようなプレイヤーです。インターネットプレイヤーの多くがライブトーナメントに出るようになるにつれて、「コーリングステーション」も増えています。このようなプレイヤーに対しては、賢明なブラフは全く通用しません。最善のアプローチはブラフをせず、ビッグハンドでオーバープレイをすることです。ハンドを捨てることのできないプレイヤーに対してはナッツでオールインすることを躊躇してはなりません。この方法が、このタイプのプレイヤーからチップを奪いとる最も簡単で最善の方法です。<12/12追記>

 2006年のオージーミリオンメインイベントのファイナルテーブルにおいて、1時間経った後でも誰も飛んでいませんでした。アグレッシブな若いアメリカ人のプレイヤーで経験は浅いですが1年を通して活躍していたShannon Shorrが、ボタン付近からレイズしました。私はBBから66でコール。その時点で100万近いチップを持っており、相手は倍くらい持っていました。
 フロップは、3h3c8hで、ポットの70%ベットするとShannonはコール。ターンはKsでチェックすると、200000のベットをされました。私は既にShannonのプレイスタイルを学習しており、Kは当たっていないと思いコールしました。リバーは8dです。
 私はShannonがKも8も当たってないことを確信していました。ペアだったとしても、77〜JJでフラッシュドローと読んでいます。ミディアムペアでオールインにコールできるとは思っていなかったので、700000のオールインをしました。相手は私をカバーしているので、この勝負に負けると私は過去の人となります。
 Shannonは、電気ショックを受けたように文字通り椅子から飛びあがりました。見るからに興奮していました。長い間考えこみ、顔が苦痛にゆがんでいました。リアクションからして彼がフォールドすると思っていましたが、長く感じられた時間(実際は1・2分でしょう)が過ぎた後、彼はコールしたのです!なんと言うグレートコールでしょう。66を見せたとき、私はトーナメントが終わったと思いました。Shannonは、ヘッドライトに照らされた鹿のように静かに私のハンドを見ていました。何を彼は待っているのでしょう。
 私は負けたと確信していました。リバーでのこのような大きなオールインベットをコールできて66に勝てないようなハンドがあるでしょうか。彼は、しっかりハンドを持ちながら「ブラフじゃなかったんだね。」と言って頭を振りながらカードをマックしたのです!
 この勝負をテレビで見るまでは、私はShannonが何を持っていたか知りませんでした。実際のところ彼はAハイだったのです!彼のハンドはAs7dでした。彼は私がフラッシュドローでブラフをしていてAハイで勝っているのではないかと考えていたに違いありません。Shannon Shorrのように大部分のチップをこのような弱いハンドで犠牲にしようとするようなプレイヤーについては、決してブラフをすべきような相手ではありません!
 ベットにコールするつもりがあるのならなぜリバーでチェックしなかったのかという疑問はあるでしょう。その時点では、私は相手の勝っているハンドをフォールドさせられると思っていたのです。ご存知のとおり、私はいつでもFold equityを自分のものにしておきたいと思っています。しかしながら、ミディアムペアをフォールドさせられないと思っているときは、コールの意思を持ってチェックして、ShannonがAハイで十分だと思ってチェックするかもしれませんが、リバーでブラフをするチャンスを与えた方がいいかもしれません。実際に私のブラフは、予期せぬバリューベットとなったのです!
 ブラフするのに適切なプレイヤーを選んで、自分が持っていると思わせるハンドに適した額をベットする以外に、重要なのは、自分のチップ量と相手のチップ量とポットの量を考えることです。ブラフは、あなたが相手よりチップを持っていて、相手がリスクを冒すべきではないと考えるような状況で最も成功します。負けても深刻なダメージを受けないような相手に対するブラフは、大災害の処方箋です。

<12/15追記>

セットの脅威

 「セットの脅威」という言葉を最初に聞いたのは、Blair Rodmanからでした。セットはそれほど頻繁にはできませんが、トーナメントにおいて相手を飛ばす武器となるものです。特にトーナメントの序盤では、プレイヤーはセットとぶつかることを警戒しています。この懸念によって変わった形のセミブラフを行うことで利益を上げることができます。
 6h5hでカットオフから600のレイズをしたとします。ブラインドは100-200で相手は11000で自分は12000持っています。フロップは、Kh8h3cでした。
フラッシュドローとバックドアストレートドローがあり、相手がAKなら3:2で負けています。相手は900ベットしてきました。あなたはコールします。相手がKを持っていなければあなたはベストハンドを持っていて(AQoにも勝っています。)、ポジションもあるので、相手のベットはCBかもしれません。相手をフォールドさせる絶好のチャンスなのでここでオールインするプレイヤーもいるかもしれませんが、コールされた場合は40%の勝率があります。この方法にはメリットもありますが、フラッシュドローでのセミブラフという読みはよくされるものなので、トップペアトップキッカー以下でのハンドでもコールされることがあります。このため、フロップではコールの方が無難なプレイだと思われます。
ターンは7sでフラッシュドローに加えストレートドローになりました。勝率は40%から34%に落ちましたが、セミブラフをした場合のfold equityは、格段に増しています。相手がまたベットしてきたら、大きくレイズすることを考えましょう。相手にとってターンでのレイズは、ドローハンドではなくセットやツーペアのように見えます。ターンはセットを持ったプレイヤーがベットし始める場所なので、ドローでのセミブラフがよく効きます。このような場合にオールインレイズすることによって大きなポットを取ることができるでしょう。
相手があなたがドローハンドを持っていると読むのは極めて困難です。このボードでは、フロップでベットするときよりもドローハンドはかなり見えにくくなります。コールされたとしても34%の勝率があります。Fold equityとショーダウンでの勝率があるので、コールされたとしても、このプレイは利益の出るプレイとなりえます。
 相手がターンでベットせずにチェックしてきた場合には、ベットするかチェックしてフリーカードを見るかの選択が可能となります。相手が負けていると思った場合はベットして、そうでなければフリーカードを見ましょう。フリーカードがラグだった場合には、リバーでベットしない方がよいです。あなたのターンでのチェックは弱さの表れと見られますので(実際正しいです)、リバーでのオールインベットをコールされる可能性は、(Shannon Shorrのケースで議論したように)高まっています。
ブラフについては、いくつかのガイドラインがあります。
まず、プレイヤーがチップの半分以上ポットに入れている場合には、ブラフをするのは困難です。35%以上のチップをポットに入れていれば「コミットしている」と感じるプレイヤーもいます。既に半分のチップを入れていれば、33%のオッズがあれば、ほとんどのプレイヤーがコールするでしょう。
 次にチップ量が多くてブラフベットにコールして負けても大した損害にならないようなプレイヤーに対しては、ブラフしないことが最善です。ブラフは、相手のトーナメントライフが瀬戸際に立つような場合にこそ最も効果を発揮するのです。
 3番目に、ブラフするのに最も良いプレイヤーは、あなたがチップをカバーしているそこそこのチップ量を持っているプレイヤーです。そのようなプレイヤーは、ビッグベットにコールして負ければ、トーナメントから敗退してしまいます。このような状況でナッツかそれに近いようなハンドを持っていない場合に命を賭けることは、大半のプレイヤーにとって困難です。チップ量が同じくらいのプレイヤーや少しだけ多くてポットを失ったら逆転されるようなプレイヤーは、ブラフ候補として理想的です。ブラフをする際には、相手に賭けをさせるのに十分なチップを持っていなければなりません。これは事前に勝負全体のことを考え、ベッティングラウンドごとにベットするチップを割り当てることが必要で、そうすることで、ブラフが十分な脅威となるのです。
 4番目に、多くのプレイヤーがブラフを見せるのを好みますが、エゴを満足させる点でも相手をティルトにさせるという点でもいい考えではありません。
 2006年のWSOPメインイベントを例に見てみましょう。
 何テーブルかが残っている段階で、熟練したプロのJeff Lisandroと有名なインターネットプレイヤーのPrahlad Friedmanが同じテーブルになりました。インターネットプレイヤーの中では、Prahladは、「Mahatma」と「Spirit Rock」のスクリーン名で知られています。Jeffがアンティを払っていないとPrahladが責めて、いさかいが起こりました。Prahladは決して譲ることなく、何回かやり取りを繰り返した後で最後に「申し訳ないが、あなたは信用できない」と言った瞬間、Jeffは激昂し怒りを爆発させました。(カメラは、Jeffが確かに円ティを払っており、Prahladの言ってることが間違いだということを映しました。)トーナメントディレクターは、Jeffにプレイするように言ってゲームが続行されました。
 Lisandroがプリフロップで140,000にレイズしたハンドで、Friedmanがコールしました。フロップは、AsKsJdです。
 FriedmanがチェックするとLisandroは200,000のベットをしてFriedmanはダウンしました。Lisandroはブラフとなる44を見せました。Jeffはトーナメントでもキャッシュゲームでも好成績をあげている素晴らしいプレイヤーなので、Prahladの言いがかりのせいでブラフを見せたのだと確信していますが、これは非常に高くつくミスとなりかねません。
 ちょうど次のハンドでJeffはCOからまた140000にレイズして、Friedmanに350,000のリレイズを受けました。Lisandroはコール。フロップはAcJc8cでした。
 Friedmanは、500,000のベットでLisandroはフォールドしました。今回は、Prahladは、9s2dを見せました。Prahladは、「ポーカーをやってるね。」と皮肉を飛ばしました。
 そのあと、Lisandroが50,000でリンプして、FriedmanがBBでチェック。
 フロップは、KsQc8h。
 FriedmanはチェックしてLisandroは100000のベット。Friedmanはコール。ターンは7hで、チェックチェック。リバーはJcでFriedmanは225,000のベットで、Lisandroはフォールドしました。Friedmanは今度は6h3dを見せました。
 私の理解では、ブラフが成功した際に、上手いプレイヤーを挑発するのは、軽はずみと言わざるをえません。モンスターを作りあげることになります。寝ている犬は寝たままにしておきましょう。

【Elkyの注釈】
相手がフロップでヒットしたかもしれない「隠れた」セットは、非常に危険で、特にあなたもフロップでトップペアトップキッカーのようなハンドを完成させた場合には、高くつく状況になりかねません。チップ量の多いトーナメントの序盤は、上手いプレイヤーになろうとするのであれば、セットに負けているかもしれない可能性を認めて、強いハンドでも捨てなければなりません。同じく、セットの振りをしてブラフをすることで大きなポットをスチールするために、そのような脅威に恐れすぎるプレイヤーを見つけることも重要です。

<1/5追記>

ブラフとモンスターハンドの場合のベットサイズ

 ビッグハンドとブラフの際のベットサイズについて、2つの興味深い考え方がポーカー業界で流布しています。一つは、小さいバリューベットをして小さいブラフベットをするという伝統的なsmall ballです。ベットの額がブラフの場合とモンスターの場合とで区別がつかないため、相手は上手く読むことができません。
もう一つは、ナッツやほぼナッツに近いときでもブラフのときでも大きなベット(ときにはオールイン)をするというものです。こちらの場合でもベットの額ではハンドの強さを窺い知ることはできません。どちらがよい方法でしょうか。
 一般的なドローを引きに行く状況で、それぞれの戦略について検討してみましょう。フラッシュやストレートドローが完成すれば、その時点のポット以上のチップを取ることができ、更にベットしても勝つことができそうな状況です。このような更なるベットについては、「インプライドオッズ」といいます。ポットオッズとインプライドオッズのほかに、ドローハンドには、ブラフで勝利することもできます。最適な戦略は、正直なベットとブラフを混ぜてドローハンドのインプライドオッズを最大化することにあります。
 このようなインプライドオッズを得るためには、相手に自分が実際に強いハンドを持っているか否かを悟らせないようにすることが不可欠です。最後のカードが隠れているセブンカードスタッドでは常に起こります。しかしながら、ホールデムでも怖いカードが落ちた場合に同じことが起こります。ストレートの片方の端だけを引きに行っている場合であっても、相手にはどちらの端を引きにいってるか知ることはできません。例えば、ボードがAT92のときに、QJや87でストレートを引きにいっているというのはいかにもありそうなことです。QJ87がリバーで落ちて相手が恐れている場合には、たとえあなたがドローを引けなかったとしても、引けたと装ってブラフすることができます。AsTs9h2hのようなフラッシュドローも組み合わさったボードでは、スペード、♡、Q,J,8,7が落ちればブラフすることができます。フラッシュからのインプライドオッズを得ることはできますが、相手は読むことはできません。
 この例においては、相手がターンまではリードしていることがよく分っています。ターンのベットラウンドが終わった時点でのポットは100ドルで、勝率はPです。ここでは3つの戦略を検討します。
 戦略1:引けた場合に10ドルベットすると相手は必ずコールする場合を考えてみましょう。この場合110ドル勝つことができます。例えば、Pが10%なら、期待値は11ドルです。10ドルのPot equityと1ドルのインプライドオッズがあります。
 戦略2:引けた場合かブラフの際にポットサイズのベットをする場合については、相手は2回に1回はコールする場合、ブラフは、p/2=5%はしなければなりません。いいかえると、実際にハンドを持っている場合の半分の頻度でブラフをしなければならないということです。(コミュニティカードがあるゲームでは、怖いカードが落ちたときにだけブラフするようにすべきです。)とにかく、ブラフについては五分五分の勝率で、相手はコールすることに五分五分となります。いいハンドのときには、アクションを起こさない場合2分の1の確率で100ドル勝ち、残りの半分では200ドル勝ちます。よって平均的には150ドル勝ちます。いいかえると、インプライドオッズによって、期待値が50%増えているということです。
 戦略3:引けた場合にはオールインをする場合です。残りのチップ量をSとすると、相手は、100/(100+S)の勝率がなければコールできません。例えば、チップ量が900だった場合、相手は10%の確率でコールしなければ、ブラフに負けてしまいます。あなたは、相手がコールすることがギリギリの頻度でブラフをしなければなりません。実際にハンドを持っている場合には、ポットをS/(S+100)=90%奪えます。しかし、100/(S+100)=10%の確率でコールされた場合、100+Sのチップを獲得することができます。したがって、期待値は、100×S/(S+100)+(100+S)×100/(S+100)=100*90%+1000*10%=190ドルです。チップ量が多くなればなるほど、期待値は200に近くなります。要は、チップが多くなればなるほど、インプライドオッズは、ポットエクイティのほぼ倍になるということです。
 3つの戦略を比べると、ビッグベット戦略がインプライドオッズから最も大きな期待値を得ていることになります。コールされることは稀です。しかしながら、コールされた場合には大きく勝てます。これは、カジノのプロモーションチップの状況とよく似ています。買った場合には、そのプロモーションチップはなくなるので、2分の1の勝率にチップを賭けている場合に、半分を失うことになります。しかしながら、クラップスやルーレットにおいて、大きくベットした場合には、価値を最大化できます。どちらの場合もリスクを大きく取った場合に期待値が最大化されることになります。
 よい例があります。P=24%のときにポットが100ドルで残りのスタックが1200ドルだったとします。どれくらいの額ならコールできますか?インプライドオッズによって、期待値は48%くらいにまで上がります。コールした場合、ベット分のEquityも維持することができます。驚くべきことに200ドルのベットにまでコールすることができます。コールするとポットは500ドルになり、残りのスタックは1000ドルです。あなたが3回に1回ブラフするのなら、相手は3回に1回はコールしなければなりません。すなわち、強いハンドを持っている場合、オールインをすれば、相手は3回に1回コールして、1500ドル勝つことができるということです。更に3回に2回は即座に500ドルのポットを獲得することができます。また、怖いカードが出たときに何度もブラフをしていたら、相手は、2回に1回はコールしなければならなくなります。あなたの期待値は、24%×1/3×1500+24%×2/3×500=200ドルです。よって、ポットの倍のベットである200ドルにコールしても収支均衡です。反対に、相手は200ドル以上をベットしなければあなたをダウンさせることができません。ポーカーの本では、ポットの3分の2のベットやポット額のベットについて論じられていますが、相手をシャットアウトすることについてはあまり触れられていません。
 Phil Iveyは、モンスターを持っているときやブラフのときのビッグベットをずば抜けて上手く戦略的に活用しています。後述しますが、Iveyは、2006年のオージーミリオンのメインイベントで、リバーでのブラフのオールインをJamil Diaにコールされて終了しました。そのブラフを見たあと、同じテーブルに座っていたオーストラリア人プレイヤーのJerry Fittは、KK959のボードでIveyのリバーでのオールインに対して9フルをフォールドしていたので、「あのときコールすべきだった」と言っていましたが、残念ながら、そのときIveyはKのクワッドを持っていたのです!

<1/19追記>

【Elkyの注釈】
 有効なベット・レイズ額を決める際の最初の考慮事項は、勝負に参加している相手のチップ量と自らのチップ量です。ブラインドがチップ量と比べて少ない序盤(例えば10000ドル持ちで25-50のとき)においては、相手のチップをすべて奪うことは難しくめったにできません。しかしながら、常にそのようなチャンスを最大化しそのようにプレイするようにしなければなりません。一方、序盤において中途半端なハンドであまりにも多くのチップを賭けるのは危険な行為です。それゆえ、伝統的なポーカー理論においては、AA、KK、AKのようなプレミアムハンドでのみ参加するよう勧められているのです。
 個人的には、ミックスするのが好きで、適当な状況だと判断したときにはリバーのブラフでポットサイズのベットも打ちます。さらに、PokerStarsのサンデイミリオンやWSOPの小さなイベントなどの大きなトーナメントにおいては、序盤でもテーブルブレイクが頻繁に行われ、相手があなたのスタイルや戦略を特定することが難しいので、自分の作り上げたイメージを活用することができません。
 自分のテーブルイメージやテーブルイメージによって増幅される動きを意識しておくことは、不可欠な武器となります。ベッティングパターンも同様で、イメージに沿ったものでなければなりません。例えば、ボタンでAAを持っていたとします。ボードはAK972でフラッシュもない場合には、リバーでハーフポットのベットをしてコールされても、ハンドの価値を最大化したとは言えません。しかしながら、相手がこのアクションをよく観察して覚えていたら、あとでリバーで同様のベットをすることでブラフする機会が生まれるかもしれません。
 反対に、自分のイメージがマニアックでいつでもオールインをしてくるような奴というようなものであれば、AAやKKのようなプレミアハンドでオールインすることで利益を最大化することができます。たとえこれがオーバーベットだとしても、相手はコールする基準を甘くしており、ミドルペアのような弱いハンドを持っていてもコールする可能性が高くなっているからです。
トーナメントストラクチャとブラインド上昇のペースもゲームの鍵となる要素です。緩やかなストラクチャは明らかに相手より優れたスキルを持ったプレイヤーに有利に働きます。したがって、自分がテーブルで優れていると思っているのなら、序盤に微妙なハンドで多くのチップを危険にさらす必要はありません。他の勝負を待てばよいのです。
ブラインドがスタックと比して小さい序盤においては、強いハンドの場合には、プリフロップでレイズしてプロテクトした方がよいでしょう。テーブルの全員が150BBを持っている場合、AAやKKは、特に相手が多くのレイズにフラットコールするようなパッシブなテーブルにおいては、頭痛のタネとなる可能性があります。このような場合には、多くとも1人か2人の相手しか残らないようにレイズする意図を持つことが重要です。
平均チップが10000でブラインドが25-50のサンデイミリオンをプレイしているときを考えてみましょう。5人のプレイヤーが既にリンプしているときに、AAやKKが来た場合には、少なくとも400はレイズする必要があります。中盤では、最適戦略を決定するために、相手のスタックに留意する必要があります。例えば、リスチールをしようと思っているのなら、あなたが十分にFold equityを持っていることを確認しなければなりません。同時に、このようなアクションでコミットしないようにしなければなりません。したがって、相手を注意深く観察し、相手のチップ量によってそのようなアクションを選択しなければなりません。トーナメントの終盤では、ブラインドがチップ量と比して大きくなりますので、チップを守ることが強いハンドを守るよりも重要になります。このため、プリフロップのレイズはブラインドと比べて小さくすることになります。
ハンドの強さに応じてレイズの額を変えることは危険だと考えます。なぜなら、注意深いプレイヤーは、ベッティングパターンを読むことができるからです。私は、プリフロップでは、通常、ハンドの強さに関わらず、序盤では3.5〜4BBのレイズをし、終盤では、2.3〜2.7BBのレイズをします。フロップ後は、多くのパラメータを考慮しなければなりません。相手に難しい決断をさせるようにベット額を決めるということが不可欠な原則となります。明らかなことですが、これは自分がビッグスタックのときにはより簡単になります。他のパラメータは、ボードの文脈と勝負に参加している相手の数です。もちろん、自分がQQを持っていて、フロップがQxTh9hでポジションがなくて相手が3人いる場合には、KKを持っていてフロップがK72レインボーのときよりも、ベットしなければなりません。ベストハンドを持っていると思うときは、相手からできるだけ多くのチップを引き出すことでハンドの価値を最大化することが最適戦略となります。スタックがポットに比べて小さくなればなるほどハンドの価値を最大化することがより簡単になります。
ポジションは、利益を最大化し負けたときの損失を最小化するために相手を圧倒するためのもう一つの不可欠な要素です。ポジションのないときのプレイは不快なだけでなく、圧倒的なポストフロップの技術とリーディングスキルを必要とします。ポジションがないときに強いハンドを持っている場合にレイズされたときは、少なくともポットサイズのレイズをすることをお勧めします。相手が強敵でフロップ後にブラフをしてくるようなプレイヤーなら尚更です。しかしながら、ポジションがあって強いハンドを持っている場合には、オーバーベッティングして相手を降ろすようなリレイズをしない方がよいです。特にチップ量が多くてフロップ後ポットの額が大きくなりそうなときはそうです。ポーカーにおけるミスの大部分はフロップ後に起こります。相手より勝っていると思うなら、フロップ後の相手のミスと最適ではないプレイを利用すべきです。
トーナメントポーカーではアンティも加わります。アンティによってポットの額が飛躍的に増大します。避けられないことですが、アンティが始まると、プレイヤーがより多くのハンドで参加するインセンティブも増大します。アグレッシブなプレイヤーは、通常は、レイズをより頻繁にし、結果として大きなポットを奪うことによってアンティを上手く活用して利益を上げるものです。また、アンティが始まったからといってレイズの額を上げる必要はありません。実際にも、レイズの額を上げたとしても、コールされないことを保障するようなものでもなく、多くのチップをコミットすることになるだけです。いかなる場合においても、アンティが開始すると、オープンレイズしたりリレイズするようなハンドの範囲を緩めることで利益を上げられるようになります。
最後に、ベットサイズをミックスすることは重要ですが、読まれないようにするためには、多くのハンドをプレイして、分析力を高めることが必要となります。厳格に、ほとんどシステマティックなアプローチを取ることが、ポーカーをプレイする際には重要になります。実際に、どのハンドにおいても、できるだけ多くの情報を得て、どの段階でも相手を負かすような決断をすることが必要になります。
PokerStarsのWCOOPのメインイベントでプレイしたハンドですが、私はBBで58000のチップを持っていました。ブラインドは400-800でハンドはAdQh。非常にアグレッシブなプレイヤーのHolla@yaboyは、42000のチップを持っており、ミドルポジションから2100のレイズをして、ボタンのプレイヤーがコールしました。私には戦略的な選択肢がいくつかありましたが、まず最初にレイザーのチップ量(42000)を確認しました。もしリレイズするのであれば、6500か7000くらいのベットですが、相手がミディアムハンドであればフォールドさせられると考えていました。しかしながら、相手も私がスクイーズプレイをすることでリスチールをしようとしているのではないかと考えるかもしれず、その場合、ポケットペアくらいでオールインしてくるかもしれません。その場合、私にとっては非常に不都合な状況になります。トーナメントのこの時点では、じゃんけん勝負で自分のすべてのチップをリスクに晒したくありません。さらに、私のテーブルイメージは、リレイズをした後オールインをされてフォールドしてしまったら、非常に傷ついてしまうでしょう。このあとまだまだプレイしなければならないにも関わらずです。自分の強いイメージを維持して相手が自分を侮らないようにしておきたいところです。
結論として、私はフラットコールをしてフロップを見ることにしました。フロップは、AsTh5hです。7000ポットにあるところ、相手のスタイルとハンドレンジを知っているので、この時点では勝っていると考えています。AK、AT、A5、TT、55しかドミネイトされていません。しかしながら、このボードではストレートドロー・フラッシュドローのいずれもあります。チェックレイズするため、ボタンがレイズした場合に安くフォールドするために、ちぇくしました。Holla@yaboyは4000の標準的なCBを打ってきてボタンがフォールドしました。私はいくつかの理由から12000にレイズしました。まず第一に、ドローからハンドをプロテクトする必要があります。また、Holla@yaboyがコールしてきた場合、相手には28000残っていますが、セミブラフでオールインするのに理想的な額のスタックとなります。
私の分析は次のとおりです。ポジションがあるので、相手がフロップでセットやツーペアができていたら、相手はフラットコールしてハンドの価値を最大化するでしょう。よって私は相手がオールインしてくるよりもフラットコールしてくることの方を恐れていました。相手が即座にオールインしてきたので、私も即座にコールしました。相手はKJのガットショットストレートドローを見せてきました。私が1枚Qを持っているので3アウトしかありません。このハンドのおかげで私はかなりのリードを得ることができました。
フロップでもっとレイズしていれば、相手はフォールドしたでしょう。私はFold equityと相手が残りのすべてのチップを使ってブラフしてくる可能性を奪っているので。もっと小さなレイズであれば、相手はドローでコールするのに十分なオッズを得ることになりますし、ターンでFold equityを獲得するのに十分なスタックを維持することができます。この場合には、相手はターンでオールインしてくるでしょう。コールする十分なオッズを与えて、相手がアグレッシブな戦法を取ってきた場合、私は難しい決断を迫られることになっていたでしょう。

(2)につづく

*1:純資産・取り分=資産から負債を引いたもの