ポーカーの高速道路とけものみち

     自分の大好きなポーカーに関する戦略などを紹介



このブログについて

自分の大好きなポーカー(特にTexas Hold'em(テキサスホールデム))
というゲームに何か貢献ができないかと思い、ブログを始めました。    
ポーカーに関する戦略などを紹介していきたいと思います。         

 Dan Harringtonのプリフロップ戦略(3)

リンプイン

 ノーリミットホールデムが上手くプレイできない者の典型的な問題の一つに、プリフロップ、特にトーナメントの序盤であまりにも多くコールしてしまうということがあります。なぜそうなってしまうかは、簡単に理解できます。というのも、序盤のチップ量と比べて、コールが非常に安くできるからです。理論的には、どんなハンドでもフロップでモンスターハンドになりうる可能性はあります。弱いハンドをフロップでモンスターに変えられたら、強いハンドのときよりも相手を騙すのが簡単だということはあります(例えばT4でフロップがT44の場合など)。弱いハンドでも安く参加できるときは多く参加して、ダブルアップできるようなフロップを見つけに行った方がよいのではないでしょうか。
 一見この主張は合理的なように思えます。しかしながら、厳しい実践的な問題がいくつかあります。

  1. 後ろのプレイヤーが自分の考えに乗ってくれるとは限りません。自分の他に3人のプレイヤーがリンプしてきたあと、BBが大きくレイズした場合、そのような微妙な手でオールインはできないでしょうし、オールインできないのなら、チップを浪費してしまうだけです。
  2. フロップでモンスターハンドにならなかった場合(ほとんどそうでしょうが)、難しい判断をしなければならなくなるでしょう。例えばT7でフロップがA74の場合、AKを持っているプレイヤーは、コールしてあなたを罠にかけようとするでしょう。7のペアがあるのにフォールドできるでしょうか。難しい決断です。プリフロップでいいハンドでしか勝負に参加しないことの一つの利点は、フロップ後の判断を簡単にするということにあります。
  3. ほとんどのフロップはほとんどのハンドの役には立ちません。先ほどの2つの問題をクリアーできたとしても、大きな役をヒットさせようとして単純にチップを多く浪費するだけになるでしょう。

 弱いハンドでもフロップを多く見に行かなければならないときもあります。弱いプレイヤーがいるテーブルで、そのチップを他のプレイヤーに奪われる前に自分のものにしたいと思う場合です。この場合であっても、スターティングハンドを慎重に選んで、何らかの可能性があるハンドを選択する必要があります。BBがチップ量と比べて小さいときはタイトにプレイすることが理論的に正しいという事実を見逃してはなりません。常道から外れているときは、自分が何をやっているか的確に認識しておく必要があるのです。

スクイーズプレイ:サンドイッチ効果の活用

 サンドイッチ効果を活用したプレイの中で特定のプレイ方法を「スクイーズ(絞り取る)プレイ」と言います。アーリーポジションからレイズがあって、コーラーがいたとします。レイトポジションのプレイヤーがリレイズをした場合、もともとのレイザーはスクイーズされることになります。レイトポジションのプレイヤーは、自分のハンドが強いことを主張しており、多分もともとのレイザーより強いハンドを持っているでしょう。しかし、もしもともとのレイザーがフロップを見ようとコールすれば、もともとのコーラーは、強いハンドを持っていてスロープレイで罠を仕掛けようとしていることもありその場合にはさらにレイズすることもあり得ます。したがって、このような状況では、もともとのレイザーは、プレイを続けるためにはとてつもないハンドを持っている必要があるので、普通はフォールドすることを選択することになります。
 
 例をあげて説明します。
 2003WSOPのファイナルテーブルの話です。
 ブラインドは15,000−30,000でアンティは3,000です。最初のポットは66,000で、自分(575,000持ち)は4thポジションにいて、ハンドはKKです。1stポジションのSam Farha(1,460,000持ち)が、60,000にレイズ。彼は最初のポジションでは弱いハンドでもレイズすることが多いというのは分かっていました。3rdポジションのJason Lester(1,050,000持ち)がコール。このときはまだ自分のハンドを見ていなかったのですが、ローペアやスーティッドコネクターのようなリーズナブルなハンドがあればスクイーズプレイを仕掛けようと決めていました。
 
 リレイズをされた場合、最初のレイザーであるFarhaはリレイザーとコーラーの間でスクイーズに合い、モンスターハンドを持っていない限りフォールドせざるを得なくなります。フォールドを受け、コーラーのJasonは、強いハンドを持っているであろう私より悪いポジションでプレイする状況になり、こちらもフォールドせざるをえなくなります。私はこのようなプレイを、73や82のような絶望的なハンドでない限り試みるようにしています。勝ち目が幾分でもあれば、素晴らしいプレイになるからです。
 
 自分のカードを見てKKが来ていることがわかったとき、信じられないほど恵まれた状況にあることを悟りました。そこでポットを超える200,000にレイズしたのです。
 
 結局77を持っていたJasonだけがコールしました。

 この勝負がTVで放映されたとき、Jasonはコールしたことを批判されましたが、私の意見では、彼のコールは完全に正当なものです。彼は私とずっとプレイしてきているので、私がそのようなレイズをポジションが合えばするプレイヤーだということを知っていたのです。彼は私がAQやKQのような手でもそのようなレイズをすると知っていたので、この時点では77でも十分勝負になると考えたのでしょう。

 私は、彼が自分のプレイスタイルを知っていることを分かっていたので、プリフロップで通常よりも若干大きいレイズをしてポットを大きくすることにしたのです。

 フロップは、J♠6♠4♥で、Jasonはオールインしてきました。

 TVで見ると77ごときでオールインするのはバカなプレイに見えるかもしれません。ほとんどの時間、私はペアになっていないハイカード2枚でフォールドしていたので、彼が恐れていたのは、私のハイカードの1枚がJであることだけでした。そんなことはほとんどないので、普通なら彼はそれでポットを取っていくはずでした。

 勝負の中には、プレイヤーがどのような人間か過去にプレイヤー間でどのような勝負が行われていたかを知っていなければ理解できないものもあります。初心者からみると我々のプレイはアマチュア同士のプレイのように見えるでしょう。私はKKで大きすぎるレイズをして自分が大きなペアを持っていることを宣言していますし、Jasonは愚かにもコールして、モンスターハンドにたいしてオールインをするといったミスを犯しています。しかし、私とJasonをよく知っている人間からすると、この勝負はすべて理にかなったものに見えるはずです。

 結局私はコールしてKKを掲げました。

プリフロップでのオールイン

 トーナメントも終盤に来ると、プリフロップでのオールインもそれほど珍しくなくなってきます。チップの少ないプレイヤーは小さなベットであってもポットコミッティッドになるので、オールインしたり、オールインを強制させられたりします。

 トーナメントの序盤では、プレイヤーもチップをたくさん持っているので、プリフロップでオールインすることはほとんどありません。もちろん、ときには大きなハンドを持ったプレイヤー同士がぶつかって、結果として一人のプレイヤーがオールインするようなこともあります。しかし、プリフロップのオールインのほとんどは、弱いプレイヤーが極度に興奮して行われるものです。

 オールインがめったにない理由は簡単なことです。持ちチップが多い状態で、AAやKKなどの強いハンドが来たときは、そのようなハンドを使ってできるだけ多くのチップを取ろうと思うからです。オールインすると他のプレイヤーがすべてフォールドしてしまう可能性が高いので、その場合はブラインドとアンティしか取れないことになり、望ましい結果ではありません。一方、TTや99などそこそこいいハンドが来たときに他のプレイヤーにフォールドしてほしいときは、オールインして貧民どもをフォールドさせたいと思うでしょう。しかし、自分の後ろに本当に強いハンドを持っているプレイヤーが隠れていたときは、チップのすべてを失う危険があります。4〜5BBのベットなら弱いプレイヤーを降ろすには十分ですし、チップのすべてをモンスターハンドにとられる危険もありません。

 すぐにオールインすることがどれだけ悪いプレイか検討するために次のような状況を分析してみましょう。

Ex1 トーナメントの最初のハンドであなたのポジションはUTG。ハンドはQ♥Q♦です。チップは1000。ブラインドは5−10です。あなたはオールインすることにしました。このプレイによるリターンの期待値はどの程度でしょう。

(解答)

  1. 自分のうしろの誰かがAAかKKを持っていればコールする。
  2. 誰もQQは持っていない。
  3. スモールペアはフォールドする。
  4. AKを持っているプレイヤーはプリフロップではどのペアよりも弱いのでオールインにはフォールドするでしょう。

 これらの仮定を前提に分析します。

 AAやKKはどの程度の確率で来るでしょうか。それぞれ220回に1回です。したがって、110回に1回は、それぞれのプレイヤーにAAかKKが来ることになります。自分の後ろには9人のプレイヤーがいるので、大体10%弱の確率で誰かがAAかKKを持っています。90%はみんなフォールドしてポットを取れます。AA・KKとぶつかったとき、すなわち10%のうち8%は負けて、2%が勝つことになります。期待値を計算すると、

  1. 90%はブラインドとアンティを取れます。90%×15=13.5です。
  2. 2%はダブルアップします。2%×1015≒20です。
  3. 8%は負けてすべてのチップを失います。8%×‐1000=−80です。

よって期待値は、-46.5になります。

 ポットの3倍の負けが平均して生じるので、プリフロップのオールインは間違った選択だということになります。AAやKKですべてのチップを取られてしまうリスクが大きすぎて、ブラインドを取る微々たる利益を圧倒しているのです。

 ブラインドがどれくらい大きくなればオールインが合理的なプレイとなるでしょうか。ブラインドが70のときにようやく期待値が±0になります。おおざっぱに推測するとブラインドが120〜150になればオールインも妥当な選択肢となるかもしれません。

 
(例題)(略)


(完)